創作小説

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ほら探日記Ⅱー31 恋慕の果てに 2


 帰りもまた、渋滞に嵌まった。ノロノロ運転していると後ろの車がクラクションを鳴らして来た。ルームバックミラーで確認するも、一度は無視する。しかし、何度も鳴らすので、顔を出し後方に目を向ける。
 すると、後車の運転手が腕を出し、彼の車のタイヤを指差している。


 砂利を引き詰められた畦道に嵌まり動けなくなった時、その穴に砂利を戻して貰い、何度も空回りを繰り返しながら脱出した。その時にタイヤを傷めたのか?
 ただただ、虚しさ哀しさが募る中、丸畑はスペアタイヤと交換をし、再び走り始めた。帰宅出来たのは夜半を回っていた。


 丸畑の話を聞く保来信次郎は、気の毒そうな表情を浮かべて言う。
「タイヤ交換までされたんですか。さぞかしお疲れになったでしょ」
「疲れたとかそう言う問題じゃない。目から涙こそ出なかったが、情けなくて心の中はぐしょぐしょに濡れたよ。一体、あの一日は何だったんだろう?」
 丸畑は、気が抜けたように大きく息を吐く。


「貴方に依頼して、彼女の居所が分かったからといって、押しかけようとか姿を見てみたいとかでは無いんだ。ただ、彼女の現状を知れば、あの時、自分が下した判断が良かったのか悪かったのかが、分かるのではないかと思ってね」 


保来は、判断を下したと言うより、見込み薄と悟ったから諦めたのではと思う。だが、丸畑との気持ちは少し理解出来る。
 それに、彼が長い間引きずって来た想いに決着をつけて上げられるかも知れない。それに、保来自身も、由井結実子の現在の姿を垣間見たいという興味が湧く。


「分かりました。手を尽くして探してみましょう」
 保来は丸畑に、力強く伝えた。


 何時の日からか、個人情報保護法なるものが立ちはだかり、以前より人捜しが難しくなった。
 由井結実子が旅館の娘という事なので、保来は実家の旅館に戻り、母・ユキの応援も得て、長野県の旅館関係の資料を漁った。
 由井という名字の旅館経営者が数軒見つかった。保来は、そのデーターを手に東京の事務所に戻る。そして電話作戦を行った。
 電話を掛けるのは、木村和枝と平原彩音だ。内容が内容だけに、女性の方が相手方の警戒心が緩むからである。


 結果、結実子という名の娘が居た旅館が見つかった。ただ、彼女は旅館業を継いでいなかった。
 それ以上の詳細を聞き出そうとしたが、警戒されて体良く電話を切られた。


「そうか。警戒されちまったのか」
 保来は残念がる。
「信ちゃん。私達に旅行させてくれない?」
「私達? 誰と? まさか、彩音とか?」
「そう。母娘という形でその旅館に泊まるの。直接行って聞けば、上手くすれば詳細を聞き出せるじゃない。それに、色々な温泉を見るのも、ユキお母さんにもプラスになると思う」
「そうよ。私達母娘で温泉旅行。 良いね」
 彩音も諸手を挙げて賛成する。


「俺も一緒に行っても良いかな?」
「駄目。男が居ると警戒されるから」
 和枝はキッパリと断った。


 和枝と彩音が目的の旅館に着く。予想通り旅館内は閑散としている。尤も、その様な時期を狙って来たのだから当然と言える。
 来訪の目的を考えれば、宿泊客の少なさは願ってもない事。


 旅館は少し古めで小規模。部屋数は多くなく、詰め込めば五0人くらいの宿泊客を受け入れられる規模である。
 和枝は色々なところに目を配る。彼女の見立てだと、今夜の宿泊客は一0人足らずのようだ。
 和枝は、信次郎の実家で仲居も経験しているし、女将ユキの要請で女将見習いもしている。全体の雰囲気で、彼女には宿泊客の人数が大凡推察出来た。


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