創作小説

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ほら探日記Ⅱー26 新たな頭痛 2


 実のところ、木村和枝が結婚したかどうかは微妙で、事実かどうかも分からない。和枝を知る多くの人達は、彼女が信次郎の見合い話を聞き、自ら身を引いたのではないかと見ていた。
 当時、孝太郎を手伝って保来興信所の仕事を支えていた彼女が、唐突に「結婚するので」と一言残し辞めて去ったのは、信次郎や彼の母・ユキを慮(おもんぱか)っての方便だったのだろうと。
 しかし、その真実を知るのは和枝本人だけである。


 信次郎は、皆の言う「慮って」という言葉を頭から放り出している。彼の心中には、何故自分や母に気を遣うのか、和枝のその気持ちが分からなかった。
(血こそ繋がっていないが、今まで姉弟として、共に歩んで来た。例え誰かと結婚しても、今までの様に姉として自分をサポートしてくれたって良いだろう。一時的だったにしろ、黙って消えるなんて)
 という、和枝の身勝手とさえ思っていたのだ。


 和枝に対する甘えというより、愛に近い。しかし、信次郎の心はそれを受け入れない。飽くまでも、姉弟愛だと信じ込む。


「ごめん。俺、言い過ぎた」
 信次郎の口から和枝への謝罪の言葉が漏れる。
「うん」
 なんとも言えぬ和枝の頷き。わだかまりや行き違いが一気に溶ける。
 やはり二人の心は繋がっている。


「お母さんも叔父様も、愛だとか嫉妬だとかに拘る年代では無いと思うの。それよりも、お母さんは叔父様が生きていらしたことの方が嬉しいと思う」
 和枝には、ユキがそうであろうという確信があった。


 和枝は一時期、ユキから女将修行を受けた身である。ユキの性格は、信次郎よりよく理解している。
 その頃から、ユキが自分の後継者探しを始めていたのを知っている。旅館の主に収まるべき夫・孝太郎が、我が儘に自分の望む道を選んだ。
 その息子も、旅館業を継ぐ意志を見せない。


 旅館の大黒柱となったユキにしてみれば、手足となってくれる人が欲しい。継いでくれるに相応しい、ユキの眼鏡に適った若女将を強く望んでいる。そして今、老いて益々その気持ちは増している。


 もし、夫が健在だと知ったら、若しかしたら夫が旅館に戻ってくれるかも知れないという一縷の望みさえ抱くかも知れない。
 やはり主の存在は大きい。嫉妬などに付き合っている時間が勿体ないとさえユキは思ってしまうのではないか。和枝にはそう見える。


 とは言え、孝太郎には別な女性が居る。しかも、娘までも。考え方の大きいユキとは言え、やはりかなりの衝撃になるかも知れない。
 心配はあるが、ユキを信じたい気持ちの方が強い和枝だった。


「お母さんは立派な方よ。きっと、上手に収めてくれると思う」
「和ちゃんがそこまで言うのなら、俺は関わらないようにするから。もし仮に、修羅場になったら和ちゃんが何とかしてよ」
 和枝は思わずクスッと笑った。信次郎は、相変わらずの和枝頼りである。


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