創作小説

小説を主に掲載していきます。

ほら探日記Ⅱ-30 恋慕の果てに 1


 恋慕の果てに


 ここまで聞いた保来信次郎は、丸畑の最初に語った内容とは随分違うと思う。これは、大恋愛でなく、大片思いだ。それも、保来の感じる所では、由井結実子なる女性は丸畑を、殆ど眼中に置いてない雰囲気だ。


 第二候補、第三候補であろうと、そんな男達に多少なりとも好意を持っているのなら、
「大好きな彼に身体を捧げたいと思うのだけど、丸畑さんはどう思う?」
 なんて台詞は、口が避けても言わないだろう。
 丸畑は、まるで入試時の滑り止め第二・第三志望校のような扱いだ。結実子にとって丸畑は、単なる話し相手程度の存在だったと見るべきである。


 恋してしまうと、人はポジティブかネガティブの両極端に走りやすい。保来は、片思いだった女性を探して欲しいという丸畑に、哀れみさえ湧いてくる。


 丸畑の話は続く。
「そんな事があってから一ヶ月後ぐらいに、突然彼女は退社してしまった。その間、一緒に飲んだ時の事は一言も話していない」
 丸畑のその言葉に、
(彼女は、好きだった彼に大切なプレゼントしたけど、やはりフラれたのか? それとも、大好きな男と一夜を共に出来て満足し、吹っ切れたのか?)
 信次郎はそう思う。


「彼女は私に、一言も言わず会社を辞めた。その冷たさで少し冷静になれたのだけど。所が、数ヶ月経ったある晩に彼女の夢を見てしまって」
 丸畑は、遠くを見るような目付きで、斜め上の天井を見つめ、再び話し始めた。


 夢を見た丸畑は、結実子が言ったある言葉が頭から離れなくなった。
「丸畑さんと結婚しても良いと思ってるの」
 


 丸畑はマイカーを所有していた。折からのモータリゼーションに乗ったのである。彼は、その車で目的地に向かう。
 結実子から聞いていたのは、実家は旅館経営。地域は山梨か長野。この様な展開になるとは想像もしていなかったので、詳しい所在地は聞いていなかった。
 勢いよく家を出たのは良いが、長野一県でもかなり広い。当てもなく走り回った所で見つけられる訳が無い。当然、丸畑もその点は承知している。。


 当時、自家用車を持つ家庭が飛躍的に増えた時代。しかし、それに対してのインフラ整備が追いついていない状態。なので、あちこちで渋滞が起きていて、当然丸畑の車も巻き込まれる。
 彼のイライラは募る。


 彼は、公衆電話の前で車を停めた。電話ボックスに入ると、厚い電話帳を捲る。宿泊業関係でページを検索するが、旅館名は書かれているが旅館主の名字までは載っていない。仕方なしに個人名帳に変える。


 東京では、由井という名字を余り聞かない。所が、長野版だと、有るは有るは。各市町村にかなりの数が載っている。
 名字の後にカッコして、OO業と記載されてる物もある。カッコ内の旅館業で追うと、数軒の住所が得られた。
 酷い渋滞に加えて、詳細な地図も無かった丸畑は道にも迷い、目指した最初の旅館に辿り着く前に、既に午後3時を回ってしまった。


「また、道を間違えた」
 何故その道を選んだのかは分からないが、いつの間にか行く先は農家の家に通じる一本道となった。
 両側は田んぼが広がっている。道を間違えたと知り、丸畑は転回を試みる。


 運が悪いことに、その道は田んぼより高い位置にあり、展開するためにバックした畦道は結構な坂になっていた。
 何とか車を畦道にバックで入れた。展開のために一本道に戻ろうとしたが、後輪が空回りする。
 当時の丸畑は、車を所有していたが、月に数度動かす程度で、悪路なんて走った経験が無い。
 脱出方法が分からず、何度もアクセルをふかすが、タイヤは砂利を跳ね溝が深まるばかりだった。


 その光景を、突き当たりの農家の家人が見ていたのか、スコップを持って夫婦で遣って来てくれた。二人の尽力もあって、やっと一本道だったアスファルトの道に出られた。
 丸畑は、ご夫婦に何度も頭を下げ礼を伝えた。


 この出来事に、丸畑は強いショックを受けた。彼は、結実子に逢うという目的を断念し家に帰る道を選んだ。
「きっと、彼女を追い掛けるべきではないとの暗示だな」
 丸畑は、そう言い聞かせハンドルを握る。


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ほら探日記Ⅱ-29 信次郎珍しく動く 2


【いやー、昨夜は下書き段階で終わりにしてしまった。頭の中はてっきり正式投稿したものと思っていたが、なんだろう。年の所為か?】


 社会人となった丸畑は中堅クラスの会社に入る。その会社は支店が沢山あり、その支店の一つで営業業務に就く。
 事務志望だったが、新人教育の一環として、営業を遣らされる。その支店には、年配の女性と若い女性が事務員として居た。
 後は支店長と営業担当者が5人ほどのこじんまりした支店。新人は丸畑一人だけ。


 若い女性事務員の名前は、由井結実子。丸畑は、その結美子と親しくなる。親しくなると言っても、映画を見たりコーヒーを飲んで雑談する程度。それより先には進まない。


 半年ぐらい経ったある日。丸畑は初めて、結美子から飲みに行こうと誘いを受けた
彼女から、大人の付き合いの場に誘われたのだ。丸畑は、当然その先を想像してしまう。
 暫く会社の話題が続いた後、結美子は覚悟を決めたかのように切り出す。
「丸畑さんが女性だったら、好きな男性に身体をプレゼントする?」
 いきなり際どい言葉を投げ掛けて来た。余りにストレート過ぎる。


「ウ~ン。僕は女性の立場では考えられないけど、僕の立場なら言えるよ」
「何て?」
「古い考えかも知れないけど、結婚したいと思える人なら良いかもね。いや、遊びでも喜んで頂くだろうな」
 丸畑は、適切な返答だったのかと不安になる。


「結婚かぁ。彼はそれは無理かも知れない」
「彼? 彼って?」
「未だ無名の歌手なんだけど・・・」
 てっきり、自分の事だとばかり思っていた丸畑は、言葉を失う。さすがにショックを受けた。 


「歌手の卵なんかじゃ、結婚なんて全然考えていないよ。それに、女性ファンて一杯居るんだろ。女には不自由をしていないでしょ。それじゃあ結美子さんはトイレにされちゃうよ」
「トイレ?」
「いや、遊ばれるだけだって事」
「私は遊ばれてもいい。それだけ好きなんだもん」


「そんなのダメだって! 傷付くのは結美子さんだけだよ。後で絶対に後悔するって」
 丸畑は身体を前のめりにして、必死な形相で思い留まるよう説得する。
 しかし、結美子の心は完全に歌手の卵の方に傾いてしまっていて、丸畑の言葉が耳に入っていかない様子だ。


 店を出て、丸畑は結美子が何時も利用する駅まで送る。結美子は別れ際に、彼に言葉を残した。
「私、迷っているの。気持ちの整理が出来たら実家に帰ろうかと。そういう形になったら遊びに来て。丸畑さんと結婚しても良いかなとも思ってるの。丸畑さんの事も好きだから」
 意味深な言葉だった。しかし、丸畑は酔っていて彼女の言葉があまり出来ていない。


 翌日、アルコールが抜けた丸畑は、昨夜の結美子の言葉を思い返していた。
「結婚しても良い? 本当に彼女の本心なのかな。まさか、酔った勢いで、俺にサービスのつもりで吐いた言葉しゃないだろうな」


 歌手の卵だという男との進展が非常に気になるところだが、結実子の「丸畑さんも好き」という言葉に悪い気がしない丸畑だった。


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ほら探日記Ⅱー28 信次郎珍しく動く 1


 宮下は、刑事という仕事が邪魔してか、なかなか彼女が出来なかった。いま、偶然にも彩音と知り合った。そして、彼は彩音に一目惚れのような感情を持つ。
 また彩音も、上京してこの方、同年代の若者と触れ合う機会が無かった。彩音もまた、誠実そうな宮下に親しみを抱く。
 とは言え、警察と利害関係が微妙に重なる部分もある探偵業の彩音。宮下は積極的になれない気持ちもある。


 そんな二人の雰囲気を、保来信次郎は敏感に嗅ぎ取っていた。彼は、ぐうたらな性格に似合わず、人の心を読むのに優れていた。


 信次郎、珍しく動く


 保来探偵事務所に、定年間近な男が調査依頼を持って来た。


「私は来春には定年退職です。会社では過不足なく仕事を熟して来た。見ようによっては、重要部署で無いその他の歯車の一個、という立場だったかも知れないが。家庭も平凡で大きな問題も生じず今日に至っている。波立つ面積も無い小さな小さな湖沼と言う感じです。それは若い時からそうだったのでは無く、好きだった女性と別れてからです」
 依頼の内容より先に、自ら己の半生を語り出した。


 男の名は丸畑。彼の話は前置きだったのだろう。そうでもしないと、依頼内容を切り出しずらかったのか?
 保来信次郎の目には、彼は気まぐれで依頼に来たのでは無いぞと釘を刺しておきたかったのかも知れない。


「息子達は独り立ちし、娘も無事送り出した。現在は妻と二人で暮らしている。私は未だ仕事が残っているが、閑職な位置に追いやられ、刺激が無い。会社でも家でも存在感が薄れてしまい、生きるのが詰まらなくなって来た」
 このパターンは、多くの人に訪れているのかも知れない。


「若さでエネルギーが溢れていた時代。未来など考えずに遊びや仕事にがむしゃらに生きていた時代が懐かしく、そんな想いに耽っていたら、人生最大の恋をしたある女性のことが浮かんで来た」
「その女性と大恋愛されたんですね?」


「そうなるのかな? 若し自分が、その彼女にもっとプッシュしていたなら、私の人生は大きく変わっていたのでは無いかなと、そんな風に思う様になってね。それと同時に、彼女は今頃どんな暮らしぶりをしているのか気になって。勿論、彼女の所在や生活状況が分かったとしても、今更追い掛けて波風立てる積りはありませんよ」


 女性は、過去の男をキッパリ忘れられる人が多いと聞く。所が、男性は未練たらしく、何時までも「彼女はー。彼女がー」と、忘れられないようだ。
 恋愛に関しては、女々しいという字を、男男しいに変えた方が良いのかも知れない。


「その別れた女性の名は由井結実子と言います。彼女とは東京で出会いました。でも、何故か実家に帰ると言いだした。実家は旅館業を営んでいると。保来探偵さんの実家も旅館業だと聞いています。それで、此方に頼めば確実では無いかと思って」


 探偵社には、元カノ調査依頼が偶に来る。だが、旅館繋がりのある調査依頼は初めてだった。丸畑の言う様に調査し易いのかも知れない。逆に、却って遣り憎いかも知れない。
 それにしても、一般には知られていないと思っていた保来の実家の職業。彼はどうやって知ったのだろう。保来にはその点が少し気になる。


 取り敢えず、暇な探偵社という汚名が広がるのを防ぐ為に、丸畑の依頼を受けることした。
 保来は、調査するに当たり、丸畑が知る由井という女性の詳細を聞き出そうとする。すると、丸畑は由井との馴れ初めから話し始めた。
 丸畑は、誰にも語れず心の中で悶々として来たものを、ここで一気に吐き出すつもりなのか。 
 保来は、彼の話が脱線して、武勇伝に走らないのを願うばかりだ。


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ほら探日記Ⅱー27 恋? 1

恋?


 相変わらず暇な保来探偵社。そこに一人の青年が訪れた。
「保来社長は居ますか?」
結構軽い雰囲気で事務所に入って来た。
「今、用があって席を離れていますが」
 平河美咲が応対する。


「また、何時ものサボりですか」
 随分と馴れ馴れしい砕けた言い方だ。
「保来に、どんなご用件で?」
 彩音が、ムッとした表情で入り口へと進む。
「僕は宮下と言います。保来さんとは顔見知りの者です。えーと、貴方は最近入られた事務員さん?」
 来客は、新米刑事の宮下だった。


「そうですが。お急ぎでしたら直ぐ呼び出しますが?」
「いや、急ぎの用件では無いので・・・」
「多分今頃、上で昼食の支度をしているんだと思います。もう間もなく降りてくる筈です」
 彩音は、時計を見ながら答える。
「今日は非番で休みなので時間はあります。待たして貰って良いかな?」
 どうぞと言いながら、彩音は来訪者用の場所に案内する。


 宮下をソファーに案内すると彩音はコンパクトキッチンに向かう。
「それにしても、新人を雇うなんて」
 宮下が呟く。呟き終わって彼はハッとする。
「私、お茶くみ専用で採用されたんです。お茶にしますか? それともコーヒーが良いですか? 冷たい水も有りますよ」
 彩音の言い方が冷たくなっている。


「ここは、何時も暇みたいなので人を雇う程仕事があるのかと思って、つい出ちゃって。ゴメン。不味かったかな?」
「暇なのは当たっています。私の場合は特殊なので」
「そうなんだ。何で此処に来たの? 出身は何処?」
 職業柄なのか、宮下はまるで職質するように次々と質問し始める。


 宮下は、彩音と郷里が近いと知ると共通する話題へと会話を持って行く。だが、問い詰めるような質問の癖はどうしても出てしまう。
 そうなのだが、彩音は次第に不快に感じなくなって来る。
 どうやら、二人はお互いに好印象を抱いたようだ。


 保来信次郎が三階の自宅から事務所に下りて来た 両手に荷物を提げている。
「彩音。昼飯作って来たぞ」
 保来は曲がりなりにも旅館の息子。一生懸命では無かったが、それなりに旅館の仕事はマスターしている。当然、調理も出来る。


「彩音・・・さん? えっ、若しかして貴方は社長の親戚?」
 さすが刑事。読みが鋭い。
「ええ、まあ」
 彩音は立ち上がって料理を受け取りに行く。
「お客さんか?」
「うん。宮下さんという人」
「宮下? あの浅羽の野郎の腰巾着か?」
「良く分かんないけど、宮下さん」


 すると、
「聞こえてますよ。腰巾着は無いでしょ。それに、浅羽先輩は立派な警部。少なくとも私の前で先輩を呼び捨てにしないで下さい」
「おう。それでどうした? 俺にまた事件の依頼に来たのか? 顧問になって欲しいのか?」
「そんなのじゃありません。そうだとしても、保来さんにはお願いしません」
「ハッキリ言うな。ぞれじゃあ、何しに来た?」
「遅くなりましたけど、この間の、プライベートでお願いした件のお礼です」


「おお、季嶋さんだったっけ? かなり落ち込んでいたけど、少しは元気になったのか?」 
「引っ越してしまったので疎遠になったようだけど、季嶋さんが引っ越しする時に母が会って、季嶋さん、明るくなっていたそうです。季嶋さん、保来さんに大変お世話になったと感謝していたそうです」
「辛い思いをしている人に、自分が出来ることをして上げただけだけどな」
 得意の格好を付ける信次郎。


 自ら命を絶った夫の後事を手伝った保来信次郎。その時、整理が付いたら病に伏せている母の元に引っ越しすると語っていた季嶋の妻。
 寂しさ辛さを胸の奥に仕舞って残りの人生を生き抜いて欲しいと保来は願う。
「所で、こちらの彩音さんと保来さんとは、どういう親戚関係なんですか?」
「俺の妹だ。文句有るか?」
 その言葉に、宮下は一瞬驚いた表情を見せる。


「それにしては、歳が大分離れているみたいだけど?」
「年取って子供作っちゃいけないのか?」
「そんなこと言って無いでしょ。私は浅羽先輩ではありません。そう、突っかからないでくださいよ」
「分かった。所で、俺が作ったメシ、食っていくか?」
「ええ、ご馳走になりますと言いたいけど、余分になんか作ってないでしょ?」


「いいや。和枝君が何時帰って来ても食べられるように、常に多めに拵(こしら)えている。彼女は、今日は遅くなると言っていた。帰って来たらまた作れば良い」
「そうですか。それでは、遠慮無くご馳走になります」
 宮下は、昼飯よりも彩音ともう少し話がしたかったのだ。


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ほら探日記Ⅱー26 新たな頭痛 2


 実のところ、木村和枝が結婚したかどうかは微妙で、事実かどうかも分からない。和枝を知る多くの人達は、彼女が信次郎の見合い話を聞き、自ら身を引いたのではないかと見ていた。
 当時、孝太郎を手伝って保来興信所の仕事を支えていた彼女が、唐突に「結婚するので」と一言残し辞めて去ったのは、信次郎や彼の母・ユキを慮(おもんぱか)っての方便だったのだろうと。
 しかし、その真実を知るのは和枝本人だけである。


 信次郎は、皆の言う「慮って」という言葉を頭から放り出している。彼の心中には、何故自分や母に気を遣うのか、和枝のその気持ちが分からなかった。
(血こそ繋がっていないが、今まで姉弟として、共に歩んで来た。例え誰かと結婚しても、今までの様に姉として自分をサポートしてくれたって良いだろう。一時的だったにしろ、黙って消えるなんて)
 という、和枝の身勝手とさえ思っていたのだ。


 和枝に対する甘えというより、愛に近い。しかし、信次郎の心はそれを受け入れない。飽くまでも、姉弟愛だと信じ込む。


「ごめん。俺、言い過ぎた」
 信次郎の口から和枝への謝罪の言葉が漏れる。
「うん」
 なんとも言えぬ和枝の頷き。わだかまりや行き違いが一気に溶ける。
 やはり二人の心は繋がっている。


「お母さんも叔父様も、愛だとか嫉妬だとかに拘る年代では無いと思うの。それよりも、お母さんは叔父様が生きていらしたことの方が嬉しいと思う」
 和枝には、ユキがそうであろうという確信があった。


 和枝は一時期、ユキから女将修行を受けた身である。ユキの性格は、信次郎よりよく理解している。
 その頃から、ユキが自分の後継者探しを始めていたのを知っている。旅館の主に収まるべき夫・孝太郎が、我が儘に自分の望む道を選んだ。
 その息子も、旅館業を継ぐ意志を見せない。


 旅館の大黒柱となったユキにしてみれば、手足となってくれる人が欲しい。継いでくれるに相応しい、ユキの眼鏡に適った若女将を強く望んでいる。そして今、老いて益々その気持ちは増している。


 もし、夫が健在だと知ったら、若しかしたら夫が旅館に戻ってくれるかも知れないという一縷の望みさえ抱くかも知れない。
 やはり主の存在は大きい。嫉妬などに付き合っている時間が勿体ないとさえユキは思ってしまうのではないか。和枝にはそう見える。


 とは言え、孝太郎には別な女性が居る。しかも、娘までも。考え方の大きいユキとは言え、やはりかなりの衝撃になるかも知れない。
 心配はあるが、ユキを信じたい気持ちの方が強い和枝だった。


「お母さんは立派な方よ。きっと、上手に収めてくれると思う」
「和ちゃんがそこまで言うのなら、俺は関わらないようにするから。もし仮に、修羅場になったら和ちゃんが何とかしてよ」
 和枝は思わずクスッと笑った。信次郎は、相変わらずの和枝頼りである。


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